2018年09月13日

「オーストラリア now」ニュースまとめ 2018年9月号

「オーストラリア now」ニュースまとめ 2018年9月号

北海道と関西地方で、今月自然災害が発生しました。日本やオーストラリアに暮らす方々と同様、苦闘する人々の姿を捉えた映像に深く心を動かされました。被害に遭われた皆様に思いを馳せると共に、オーストラリア国民を含め、被害を受けた方々の初動対応にあたった地元の救助隊の皆様に、感謝の言葉をお贈りします。

9月に入り「オーストラリア now」はいよいよ佳境を迎え、医療研究シンポジウムやグルメ・イベント、オーストラリア出身ミュージシャンによる東京最大のジャズ祭典への参加などが相次いでいます。

開催中の「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展においては、演奏家のジャルー・グルウィウィ氏が新潟県の田園風景を舞台に、心に残る見事な演奏を披露してくれました。日本で人気を誇るディジュリドゥの奏者GOMA氏が舞台に加わった時に、深い感動を味わったのは、私だけではないはずです。

今月のもうひとつの注目は、「オーストラリア now」イベントの「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」が、日本の建築専門月刊誌a+u」の特集記事で取り上げられたことです。雑誌としてだけでなく、コーヒーテーブルの上に並べるアイテムとしてもお馴染みの同誌は、サステイナビリティやモダンリビングについて多くを教えてくれます。

「オーストラリア now」も11月のクロージングイベント、バンガラ・ダンス・シアター公演まで、残すところ2か月を切っています。それまで続く注目イベントにご期待ください。

バッシム・ブレージー

駐日オーストラリア大使代理

ディジュリドゥ奏者であるジャルー・グルウィウィ、GOMAの両氏。9月9日新潟県オーストラリア・ハウスにて
写真提供:オーストラリア大使館

2018年度(6月まで)のオーストラリア経済成長率は3.4パーセントで、いずれのG7諸国よりも高くなっています。

– 9月3日-9月29日: リトル・ペンギン・カップ

– 9月15日-11月18日:ヨルク・シュマイサー展 終わりなき旅

-9月28日-9月30日:グレアム・マーフィー&マチュア・アーティスト・ダンス・エクスペリエンス『フロック』

-10月3日-10月4日:現代パフォーマンス「Split」が、東京・青山のDance New Air 2018で公演

-10月6日-10月8日:オーストラリア留学フェア

-10月10日-10月12日:オーストラリアのライフサイエンス最新情報@バイオジャパ

-10月11日-10月21日:ヘザー・B・スワン個展「I let my body fall into a rhythm」

10月12日-11月11日:2018サイエンス・サーカス巡回展

 

「オーストラリアnow」の中心的イベントであった「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」は8月26日、六本木ヒルズ展望台で最終日を迎えました。このイベントはその後、a+u」を発行する新建築社の青山ハウスにて引き続き開催されました。

スカイギャラリーでの7週間に及ぶ開催期間中、19万人を超える人々が展望台を訪れました。観客の方々は、持続性や高い回復力を備えると共に、資源を大切にする革新的なオーストラリア建築の独自性について学びました。

この展示会に合わせて、建築専門月刊誌a+u」は9月号で特集を組み、キュレーターのウェンディ・ルーウィン氏や、協力を行ったトム・へネガン、マリアム・グシェ両氏のインタビューを掲載しています。

「オーストラリアnow」のために特別に開催されたこの展示会は、森ビル株式会社や千葉工業大学、東京藝術大学、株式会社NHKエンタープライズによる支援を受けています。

オーストラリアの建築家兼キュレーターのウェンディ・ルーウィン氏。2018年7月7日、「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」
オープニングにて
写真提供:オーストラリア大使館

9月10-11日、日豪の研究者が集まり、医療研究シンポジウムが開かれました。この「オーストラリア now」イベントは、希少がんの分野における若手研究者の画期的な取り組みを紹介するものです。

希少がんの研究者らは、東京と大阪で開催された日豪医療研究シンポジウムのワークショップにおいて、これまでの取り組みを業界・政府関係者らに説明しました。またポスターセッションや夕食会など、研究者や一般の方々が各分野の若手専門家から話を聞くと共に、交流を図る機会が設けられました。

オーストラリア全国保健医療協議会と日本医療研究開発機構の支援を得て、ビクトリア州政府が主導したこのシンポジウムは、日豪における将来の研究交流や協力を推進する、貴重な機会となりました。

日豪の研究者を前に講演を行うテレソン・キッズ・インスティチュートのレリーン・エンダスビー脳腫瘍研究共同部長。9月10日に大使館で「オーストラリア now」の一環として開催された日豪医療研究シンポジウムより
写真提供オーストラリア大使館

「オーストラリア now」にて上演される、劇団バック・トゥ・バック・シアターのsmall metal objects」東京公演の日程が決定しました。

メルボルン郊外のジーロング市を拠点とするバック・トゥ・バック・シアターは、知的障がいを持つ6名の俳優で構成されるアンサンブルです。彼らの舞台は世界的に高い評価を受けており、深く考えさせる作品を生み出すことで、舞台が表現できる領域の限界に挑戦しています。同劇団はまた、オーストラリア・カウンシル・オブ・ジ・アーツやクリエイティブ・ヴィクトリア、ジーロン市の支援を受けています。

東京芸術祭2018の一環として、東京芸術劇場の主催により、同劇団は10月20-29日、池袋西口公園にて14回の野外公演を行います。俳優たちは東京を舞台に、一般の人々に紛れる形で個人的なドラマを繰り広げ、観客は彼らのやり取りをヘッドフォンで聞くという一風変わった構成のこの作品、お見逃しのないように!

東京芸術祭の一環として野外公演を行うバック・トゥ・バック・シアターの俳優たち。彼らの作品は、‘生産性のない’人々がいかに社会から冷たい扱いを受けるのかを描いている
写真提供:ジェフ・バスビー

「越後妻有-大地の芸術祭2018」のプログラムである「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展の開催に合わせ、9月8日に新潟県で、一夜限りの 「イダキ・イン・コンサートfeat.ジャルー&GOMA」が行われました。当日は申し込みが殺到し、急遽追加のチケットが発行されるほどの人気となりました。

観客の方々は、世界的に知られるイダキ(ディジュリドゥ)奏者のジャルー・グルウィウィ氏によるオーストラリアの音の世界を堪能しました。また日本のアーティスト、GOMA氏との協演では、パワフルなオーストラリアならではの音色を体験しました。

グルウィウィ氏は、イダキの伝統を育んだ北東部アーネムランドの出身で、ヨルング族の長老です。今回の演奏会では、他にも7名のヨルング族アーティストが参加し、同展示会の初の海外での開催を祝いました。  イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」の開催には、南オーストラリア博物館とオーストラリア国立博物館が協力しています。同展示会はまた、豪日交流基金と外務貿易省のオーストラリア文化外交補助金プログラムによる支援を受けています。

 

9月8日の「越後妻有-大地の芸術祭2018」600名を超える熱心な観客を前に、ヨルング族の仲間と演奏を行う世界的なイダキ(ディジュリドゥ)奏者、ジャルー・グルウィウィ氏
写真提供オーストラリア大使館

「オーストラリア now」の一環として9月13日、大使館庭園で開かれた在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所グルメ・フード&ワイン交流レセプション」もまた、チケットが完売となる人気ぶりでした。

このイベントでは、ルーク・マンガン氏による人気レストランSalt Tokyoがフルコースの料理を用意し、オーストラリアとニュージランドの様々な味覚が提供されました。バラエティ豊かな地ビールやオーストラリア・ワインも用意され、ゲストの方々の期待に応えました。

在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所東京商工会議所が共同で主催したこのイベントには、「オーストラリア now」親善大使で、俳優の柴俊夫氏がゲストとして参加し、挨拶を行いました。柴氏はオーストラリアの食文化に対する想いや、日豪間の料理外交に対する取り組みについて、語ってくれました。

 

オーストラリアの食文化に対する想いを語る、俳優で「オーストラリア now」親善大使でもある柴俊夫氏。9月13日大使館にて
写真提供:オーストラリア大使館

オーストラリア国立大学と東京大学は、11月5日に東京大学で開催される日豪科学外交と政策に関するフォーラムのゲストスピーカーを間もなく発表します。

この「オーストラリア now」イベントでは、岸輝雄外務大臣科学技術顧問やオーストラリア科学アカデミーのアンナ‐マリア・アラビアCEO、古澤明東京大学大学院工学系研究科教授、エレノア・ハンティントン オーストラリア国立大学工学・コンピューター科学部長、ジェームズ・ウィルスドン政府科学勧告国際ネットワーク副会長による基調講演がすでに決まっています。

豪日交流基金の助成を受けたこのフォーラムでは、学界の枠内および枠外で、日豪の研究協力が行われている主な事例を紹介していきます。

外交や政策における科学の役割について、政府に助言を行う専門家の意見を聞くと共に、現在進行中の研究協力について学ぶ格好の機会です。参加申し込みについての詳細は、間もなく発表となります。お見逃しのないように!

リオ・ティントとコマツは、従来のトラックを自動運搬無人機に改良する取り組みを行っているが、こうした協力は生産性を高めるだけでなく、新たな日豪科学外交を推進するのにも役立っている
写真提供:リオ・ティント

秋の到来にふさわしい爽やかな野外イベントが、9月1日に開催されました。伝説のジャズピアニスト、ポール・グラボウスキー氏による東京JAZZフェスティバル参加プログラムThe Gravity Project」です。雨天にもかかわらず集まった数百名のジャズファンは、クリエイティブ・ビクトリア協力による、この「オーストラリア now」イベントで、日豪ミュージシャン9名によるアンサンブルの演奏を楽しみました。

オーストラリアン・ジャズ・ジャーニーの一行は東京公演を終えた後、岩手県に向かいました。メルボルン出身のミュージシャン、ロバート・バーク氏率いるカルテットが9月8-9日、いわてJAZZ2018に参加するためです。2011年東日本大震災の被害を受けた学校を訪問するために、同氏はこの3年間毎年、岩手県に足を運んでいます。

オーストラリアのジャズミュージシャン達は2011年以来、毎年同県を訪れ、演奏やワークショップの開催を行っています。Australia Jazz Journey 2018は、外務貿易省のオーストラリア文化外交補助金プログラムオーストラリア・カウンシル・オブ・ジ・アーツの支援を受けています。

ポール・グラボウスキー氏が日豪のミュージシャンと協演した「The Gravity Project」を観るために、9月1日、NHKホール前に集まった人々
写真提供:オーストラリア大使館

9月5日、約50名の日豪ビジネスリーダーがオーストラリア財務省高官であるジェシカ・ロビンソン氏による、対豪投資の枠組みの現状についての講演を聞くために大使館に集まりました。

日豪経済委員会の協力を得て開催されたこのイベントでは、対豪投資の規則変更についての最新情報や、国益上の懸念がどのように移り変わっているのかが紹介されました。

日本は対豪直接投資において、欠かせない国であり、約500に上る日本企業が、73,900名以上のオーストラリア国民を雇用しています。(2014-15年)

オーストラリア財務省高官のジェシカ・ロビンソン氏と、バッシム・ブレ―ジー大使代理。9月5日に開催された、対豪投資枠組みのブリーフィング会場にて
写真提供:オーストラリア大使館

オーストラリアの優れたライフセーバー6名が9月9日、和歌山県南紀白浜で行われた「オーシャンサーフチャレンジin白浜2018」で、日本のライフセーバーと共に活動を行いました。オーストラリアでは、スキルやチームワークの向上を目指し、サーフ・ライフセービングの競技大会ライフセービング・パトロール・コンペティションを開催しています。豪日交流基金の助成を受けた今回の「オーストラリア now」イベントで、オーストラリア・チームは、この競技大会における経験を披露しました。

集まった人々は、救助メンバーの連携した動きに驚きの声を上げていました。彼らはこの他、サーフ・パトロール技術の強化により、ビーチの安全を確保する方法を披露しました。

救助メンバーはまた、地元の関係者や日本ライフセービング協会の方々と会いました。両国の参加者は、ビーチの安全という共通の課題に取り組むために、お互いの文化を超えた交流のひとときを過ごしました。

子供たちにビーチでの安全について教えるオーストラリアのライフセーバー達。9月9日白良浜海岸にて
写真提供:オーストラリア大使館

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