2018年11月19日

「オーストラリア now」ニュースまとめ2018年11月号

「オーストラリア now」ニュースまとめ2018年11月号

八か月間続いた「オーストラリア now」が11月9-10日、彩の国さいたま芸術劇場での素晴らしいバンガラ・ダンス・シアターの舞台を最後に、ついに閉幕を迎えました。このプログラムは4月、オーストラリア・デー・イン・スプリングにおけるヨータ・ヨータ部族のソプラノ歌手、デボラ・チータム氏の歌声で開幕しました。したがって、再度オーストラリアの誇るべき先住民・トレス海峡諸島文化を称える形で、幕を閉じることになります。

その間に開催されたイベントは、ほとんどの分野をカバーするものでした。農業技術や建築、アート、バイオテクノロジー、料理、ダンス、外交、教育、映画、フィンテック、水素、ジェンダー、ジャズ、法律、ライフセービング、文学、音楽、オペラ、パペット、研究、ラグビー、科学、彫刻、サーフィン、舞台、ワイン、恐竜ショーなど、日豪交流における全ての領域といってもいいでしょう。

こうしたテーマを扱った、約220に上る個別のイベントが28都道府県で開催され、42万人を超える人々のご参加がありました。ひとえにスポンサーや親善大使、プログラム・パートナーの皆様のおかげです。わが国が2019年のG20やラグビーWC、2020年の東京オリンピック・パラリンピック日本開催への支援へと向かう中、「オーストラリア now」は、日本におけるオーストラリアへの注目度を著しく高めることに成功しました。

「オーストラリア now」は、あらゆる方向に関係を急速に発展させるのを助けるものでした。そして今月も、安倍首相のオーストラリア訪問や、シドニーで開催された日豪経済合同委員会の成功、イクシスLNGプロジェクトによる初出荷などを通じ、この関係は強化されています。今回で「オーストラリア now」のニュースレターは最後となりますが、本年育まれた日豪の関係は、皆様の支えにより、今後もいっそう深まっていくものと確信しています。

リチャード・コート

駐日オーストラリア大使

11月6日の「オーストラリア now」閉幕ディナーにおけるコート大使と大使夫人、親善大使を務めた俳優の別所哲也氏と。他にも俳優の柴俊夫、真野響子、ラジオDJのクリス・グレン、エッセイストの小島慶子、アーティストのサラ・オレイン各氏が親善大使として活躍した

写真提供:オーストラリア大使館

42万人が「オーストラリア now」のイベントに参加

主要プログラムの数は40

個別イベントの数は220

28の都市および都道府県で開催

250名のオーストラリア人、または35のグループが日本国内を回った

バンガラ・ダンス・シアターは11月9-10日、アジアを代表するコンテンポラリー・ダンスの舞台である彩の国さいたま芸術劇場で、オーストラリア先住民文化を称えるパワフルな踊りを披露、「オーストラリア now」の終幕を見事に飾りました。バンガラは豪日交流基金の支援を受け、本プログラムのフィナーレとしてI.B.I.SとSpirit 2018のニ作品を上演すると共に、ワークショップやレクチャーを開催しました。

コート大使は「オーストラリア now」パートナーや日本政府、財界、学界の代表、一般の方々と共に、オーストラリアを代表する先住民・トレス海峡諸島民によるダンスカンパニーによる忘れられない舞台を鑑賞しました。あるベテランのダンス評論家は大使館職員に対し、「彼らの舞台は、これまで全く経験したことのないものだった」と語ってくれました。

バンガラのダンサーたちは公演前、東京と埼玉でワークショップを開き、オーストラリア先住民文化の担い手として、日本の大学生や高校生に彼らの踊りを紹介しました。また早稲田大学では、エグゼクティブ・ディレクターのフィリップ・マジッド氏とI.B.I.Sの振付を担当したデボラ・ブラウン氏が、佐和田敬司教授の司会による特別レクチャーに出席しました。この中では、バンガラ・ダンス・シアターがいかに国内全土の先住民・トレス海峡諸島民たちとの敬意を持った話し合いを基に、ダンスを生み出しているのかが紹介されました。

11月5日、お茶の水女子大学附属高等学校でのワークショップで、生徒たちにダンスを教えるバンガラ・ダンス・シアターのダンサー、エルマ・クリス氏

写真提供:オーストラリア大使館

「オーストラリア now」の親善大使やスポンサー、パートナーの方々が11月6日、コート大使と共に閉幕ディナーに参加しました。「オーストラリア now」は引き続き、2019年にASEAN諸国で開催されます。

ディナーには、親善大使を務めた別所哲也氏や小島慶子氏、鈴木憲和外務大臣政務官、逢沢一郎日豪国会議員連盟会長らが出席し、「オーストラリア now」の最後を飾るバンガラ・ダンス・シアターの来日を歓迎しました。

ディナーの席では、オーストラリアの有名なジャズ演奏家であるポール・グラボウスキー氏が、2曲のオリジナル作品を披露し、観客を魅了しました。また、バンガラの振付師であるデボラ・ブラウン氏が、カンパニーにとって、今回の日本公演がいかに大きな意味を持つのかについて語りました。

舞台の上では、「オーストラリア now」のプラチナ・スポンサーであるウッドサイド・ジャパンのカントリー・マネージャー、ジョージ・ギルボイ氏が乾杯の音頭を取り、リオティントジャパンの山路昇代表取締役社長が祝辞を述べました。コート大使は「オーストラリア now」の成功に欠かせなかったウッドサイドやリオティント、BHP、ANA、日本航空、ニューサウスウェールズ州政府、ビクトリア州政府、カンタス航空、三井住友銀行・SMBC日興証券、オージービーフ、オーストラリア政府観光局、JTB、国際石油開発帝石、西オーストラリア州政府、豪日交流基金といったスポンサーに、心からの感謝の意を伝えました。

11月6日の「オーストラリア now」閉幕ディナーで、バンガラ日本公演の背景を説明する振付師兼ダンサーのデボラ・ブラウン氏

写真提供:オーストラリア大使館

第56回日豪経済合同委員会会議が10月14-16日に開催され、450名を超える日豪ビジネス界のリーダーがシドニーに集まりました。豪日経済委員会が主宰した会議では、往復貿易額が719億豪ドルに上る日豪の貿易関係や成長の機会について、話し合いが行われました。今回は次世代リーダーズ・グループの面々や、ニュー・コロンボ計画による留学経験者に代表されるような、新しい分野や若手の企業人による参加が目立ちました。

コート大使は、ロッド・エディントン豪日経済委員会委員長や三村明夫日豪経済委員会委員長、グラディス・ベレジクリアン ニュー・サウス・ウェールズ州首相、草賀純男駐オーストラリア特命全権大使、アンドリュー・ガウチ在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所会頭、メラニー・ブロック名誉会頭らと共に、議論に参加しました。各セッションではエネルギーやインフラ、新技術、スマートシティーなどが取り上げられ、二国間関係が長期的観点から検討されました。

また、コート大使と草賀大使は、オーストラリアと日本の首相によるメッセージをそれぞれ読み上げました。安倍首相はその中で、再生可能エネルギーや情報技術、医療技術といった新しい分野に両国の関係を拡大したいという、日本側の願いを強調しました。一方モリソン首相は、豪日・日豪両経済委員会が、両国が共有する機会や課題に力を入れるなどの貢献を果たしてきた点を称えました。

豪日・日豪経済委員会次世代リーダーズ・グループの議長を務めた、マッコーリーキャピタル証券会社の三原寛奈氏と、リオティント ジャパンの田村浩平氏、ハーバート・スミス・フリーヒルズのナタリー・マクダウェル氏。10月14-16日にシドニーで開催された第56回日豪経済合同委員会会議にて

写真提供:豪日・日豪経済委員会次世代リーダーズ・グループ

タスマニア州ホバートにあるロズニー・カレッジには、障がいを持つ生徒の学びや、社会性・情緒面での成長を支援するスプリングボードと呼ばれるプログラムがあります。この一環として活動する「キズナ(絆)太鼓ドラミング・グループ」の生徒たちが10月18日、オーストラリア大使館を訪れました。

生徒や両親、教師グループの一行は、豪日交流基金の支援を得て、日本での太鼓交流プログラムに参加すると共に、ダウン症候群の生徒で構成される滋賀県のひまわり太鼓と共に演奏を行いました。また、豪日交流基金理事会の役員を務める有名なシェフのアダム・リアウ氏が、大使館でグループの面々と会い、彼らの体験や日本訪問が現実となった喜びについての話を聞きました。

10月27日に横浜で開催されたブレディスローカップ2018では、ニュージーランドが勝利を収めました。熱狂的なオーストラリアのサポーター達は、自国の代表チームの応援で横浜を訪れると共に、来年のラグビーWCで決勝、準決勝の会場となる日産スタジアムを直に体験しました。また、「オーストラリア now」親善大使サラ・オレイン氏は、試合前にオーストラリア国歌を独唱し、その力強い歌声で観客やテレビの視聴者を魅了しました。

ブレディスローカップ第3戦の日本開催に合わせ、日豪のラグビー交流が各地で行われました。「オーストラリア now」においては、元オーストラリア全国代表選手によるラグビー・クリニックが武蔵野市で開催されました。また、コート大使は、オーストラリア・ニュージーランド商工会議所主催による、釜石市のスポーツ・プロジェクトのために寄付金を集めるブレディスローカップ・チャリティ・ガラディナーに出席しました。

このほか、11月10-11日にはFINAスイミングワールドカップ2018東京大会が開催され、オーストラリアの好成績に、日本にいるファンは喝采を送りました。コート大使が見守る中、オーストラリア・チームは混合4╳50mメドレーリレーと男子200m自由形、女子200m背泳ぎで金メダルを獲得しました。よく頑張りましたね!

ラグビーのオーストラリア代表チーム・マスコットのWally、元代表選手らと共に並ぶラグビー好きの子供たち。「オーストラリア now」の一環として、豪日交流基金の支援を受けて10月28日、武蔵野陸上競技場で開催されたラグビー・クリニックのひとコマ

写真提供:オーストラリア大使館

「オーストラリア now」の一環として、10月23日、京都市で初の日豪イノベーション&リサーチ シンポジウムが開催されました。シンポジウムでは、高齢者介護ロボットの開発や、気候変動から魚種資源を守る日豪の共同研究プロジェクトなどが紹介されました。

ユニバーシティーズ・オーストラリアと国立大学協会が、教育訓練省の協力を得て共催したこのシンポジウムにおいて、参加した人々は「日豪の研究分野における連携の事例2018」と題した、新しい冊子の発行を歓迎しました。

シンポジウムには、リオ ティントやサントリー・グローバル・イノベーション・センター、科学技術振興機構、京都工芸繊維大学、タスマニア大学の代表など、約80名に及ぶ日豪の大学・ビジネス界の代表が出席しました。

「オーストラリア now」ではもうひとつ、「日豪科学外交と公共政策に関するフォーラム」と題したプログラムが、11月2日に大阪、11月5日に東京でそれぞれ開催されました。オーストラリア国立大学が主導し、東京大学や大阪大学の協力を得て企画された、この日豪の科学協力に関するフォーラムでは、科学や外交がいかに外交や国際関係全般、さらには新しい日豪研究協力の機会に貢献しているかについての検討が行われました。

オーストラリア科学アカデミーのチーフ・エグゼクティブであるアンナ・マリア・アラビア氏をはじめ、リオ ティントフェローであるジェニー・コルベット教授、岸輝雄外務大臣科学技術顧問、オーストラリア科学普及啓発全国センターのジョーン・リーチ教授、関村直人東京大学副学長、角南篤政策研究大学院大学副学長など、コート大使は、華々しく活躍する専門家の方々と会う機会を得ました。

このフォーラムを助成した豪日交流基金からは、オーストラリア国立大学ジャパン・インスティチュートのディレクターであるヴェロニカ・テイラー教授が出席しました。

10月23日、京都で開催された日豪イノベーション&リサーチ シンポジウムで、配布された新冊子「日豪の研究分野における連携の事例2018」

写真提供:オーストラリア大使館

オーストラリアで最も世界的に知られる、コンテンポラリー・シアター・カンパニーのひとつであるバック・トゥ・バック・シアターが、東京芸術祭2018、および「オーストラリア now」の一環として、10月20-29日に延べ14回の公演を行いました。この劇団はジーロングを拠点としており、知的障がいを持つ俳優たちで構成されています。きわめて個人的なドラマである今回の上演作品small metal objectsは、観客に深い感動と新鮮な驚きを与えてくれました。

上演のために東京を訪れた4名の俳優たちは、池袋西口公園で作品を上演しました。慌ただしい通行人の中に交じって展開されるドラマを、観客はへッドフォンをつけて鑑賞しました。クリエイティブ・ビクトリアとオーストラリア・カウンシル・オブ・ジ・アーツ、ジーロング市の支援を受けた公演は、日本の批評家やマスコミ、舞台製作者の暖かい歓迎を受けました。今回の作品は、2020年パラリンピックを開催する日本で、あらゆる人々を受け入れる社会の必要性を訴えるものとなりました。

東京芸術祭2018、および「オーストラリア now」の一環として、10月29日に池袋西口公園で上演されたバック・トゥ・バック・シアターの舞台に集まった観客

写真提供:オーストラリア大使館

オーストラリアの有名な作家であるヘレン・ガーナ―氏が評価の高い自作「グリーフーある殺人事件裁判の記録」について語るトークショーに参加するため、約55名の人々が東京・代官山に集まりました。ガーナ―氏は今回、豪日交流基金の支援を受けて、加藤めぐみ明星大学教授が翻訳を担当した本作の日本での刊行を記念するイベントに出席するため、来日しました。

バッシム・ブレ―ジー大使代理の紹介により、ガーナ―氏は「法律へのラブソング」と題した基調講演を行い、裁判の実話を書くことに関心を持ったきっかけや、その後の展開について語りました。その後、ガーナ―氏は作家の中島京子氏や加藤教授と共にパネルディスカッションを行い、今回の作品や、世界で実際に起きた出来事を書く上での視点について話し合いました。

「グリーフーある殺人事件裁判の記録」は、現代企画室が手がけるオーストラリア現代文学傑作選の第6巻として、このたび翻訳されました。

「オーストラリア now」の一環として、11月1日に東京で開催された日本語版の出版記念会で語るオーストラリア人作家のヘレン・ガーナ―氏

写真提供:オーストラリア大使館

「オーストラリア now」の一環として、10月26日-11月4日、国際的にも有名な富山市ガラス美術館で、オーストラリアのガラス作家による18の作品が展示されました。キャンベラ・グラスワークスが企画し、外務貿易省が支援したこの展示会には、2000人を超える人々が足を運び、著名なヒンドマーシュ賞2018を受賞した作品群に、強い印象を受けていました。

マーティン・ウォーカー政務担当公使は、キャンベラ・グラスワークスのマイケル・スネア会長や、エイミ―・フロドシャム芸術担当ディレクターと共に、展示会のオープニングに出席しました。ヒンドマーシュ賞は、オーストラリアの首都特別地域で活動する、あるいはキャンベラ・グラスワークスと関係の深い、世界レベルのガラス作家の卓越性を認めると共に、彼らの評価を広めることを目的としています。

「オーストラリア now」プログラムである、ヒンドマーシュ賞2018受賞作品の展示会オープニングで、10月26日に富山市ガラス美術館にて挨拶を行うマーティン・ウォーカー政務担当公使

写真提供:富山ガラス工房

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