2018年09月10日

オーストラリア先住民文化を代表する楽器「イダキ(ディジュリドゥ)」展が、大地の芸術祭でハイライトを迎えました!

オーストラリア先住民文化を代表する楽器「イダキ(ディジュリドゥ)」展が、大地の芸術祭でハイライトを迎えました!

オーストラリアnowの一環として、新潟県の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」にて開催中の「イダキ: ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展が、9月8日(土)―9日(日)にかけて、ついにハイライトを迎えました。

イダキ(ディジュリドゥの名でも知られています)は、オーストラリア先住民アボリジナルの人々にとって音を奏でる楽器であるだけでなく、伝統、文化、人間の存在のシンボルであり、5万年以上の昔から伝わる人類最古の楽器と言われています。「イダキが奏でる伝統的な『ソングライン』に基づく演奏は、生命、そして太古の昔から受け継がれた生命が生きる大地そのものを表す、宗教とも言える存在」と、南オーストラリア博物館のジョン・カーティー博士は説明しています。

大地に響き渡る音色と独特のバイブレーションには人を根本から癒す効果があるとも言われており、この古代より人類に伝わる伝統の楽器が、世界規模の現代アートフェスティバルである大地の芸術祭の場で紹介されることは、それ自体が非常に大きな意義を持つものです。

 

パフォーマンスを前に、は、日本人のディジュリドゥアーティスト、画家・GOMA氏と、彼の師匠でありオーストラリア北部のアーネムランドに住むオーストラリア先住民・ヨルング族の長老でもあるジャル―・グルウィウィ氏(推定88)とその一族が新潟入り。二者の特別な協演が、500人以上の観客を前に披露されました。

この貴重なパフォーマンスの前売りチケットは発売後すぐに完売。当日券にも長い列ができていました。在京大使館からバッシム・ブレージー公使をはじめとするスタッフや、今回のイダキ展とパフォーマンスに多大な協力をいただいた南オーストラリア博物館館長、オーストラリア国立博物館の皆様、オーストラリアnowのスポンサーの皆様、そして本イベントに携わった関係者らが駆け付けました。

今回の演奏のために特別に来日を果たしたジャル―と、日本でのパフォーマンス活動を続けている人気アーティストのGOMA氏は、越後妻有の地で約6年ぶりの再会を果たしました。公演を前に両者がメディアとのインタビューに応じるなどし、今回の公演の注目度の高さをうかがわせました。

GOMA氏は、約20年前に単身オーストラリアへ渡り、イダキをジャル―の下で学んだ後に日本で音楽活動をしていましたが、交通事故に遭い、高次脳機能性障害を患います。彼は、自らがイダキ奏者であるという事実を思い出せないくらいの損傷を脳に負いましたが、その後、活動を再開。再度オーストラリアへ渡り、ジャル―一族らと過ごしイダキを演奏することなどを通じて、「自らもそれによって癒された」と言います。

 

満員のライブ会場は、まずジャル―が奏でるヨルング族に伝わるソングラインに基づく伝統的な演奏で始まりました。何も知らないものにも神聖さを感じさせる音色は観客を魅了。その後、ジャル―の息子らによる現代音楽の要素を取り入れた楽曲や、女性たちによる伝統的な踊りなどが紹介され、GOMA氏のパフォーマンスへと移りました。

演奏後、会場の熱気に包まれて、GOMA氏は「20年前にディジュリドゥを吹き始めたときは、このようなイベントが開催できるようになるなどとても思えなかった」と話し、「事故の後、新曲を覚えたりするのは難しいだろうと医者にも言われていたが、今年9年ぶりに新曲をリリースすることまでできた。本当にありがとう」と集まった観客、そして来日したジャル―一族に向けて感謝の言葉を述べました。

(動画リンク:時事ドットコムニュースより)

今回のイダキ展のキュレーターであるカーティー氏は、「イダキはオーストラリア先住民にとって大変特別な楽器だが、現在いろいろな形で世界中に広がっている。不思議なことに、イダキの演奏に一番強い反応を示すのは日本の皆さんです」と述べ、日本古来からの伝統や生き方と、イダキが表現するものとの間には、説明しがたい相関関係があると示唆しています。

GOMA氏とジャル―による共演をクライマックスに迎え、大変な盛り上がりのうちに終わったライブ演奏の翌日、オーストラリア・ハウスが建つ十日町市の浦田地区の方々の協力により、同拠点にて日豪交流会が開かれました。

大地の芸術祭の総合ディレクターである北川フラム氏は挨拶の中で、「2000年から始まったトリエンナーレに対する理解を得るのが難しかった中、最初に協力してくれたのがオーストラリアだった」と述べ、オーストラリアの同芸術祭に対する貢献をたたえました。また、オーストラリア・ハウスが建つ十日町市の関口芳史市長から、オーストラリア大使館のブレイジー公使への感謝状も贈呈されました。

式典の後には地元の新鮮な食材を使った軽食や、オーストラリアの代表的な菓子「アンザック・ビスケット」などがふるまわれ、その間には浦田地区に伝わる太鼓の演奏が地元の若者によって披露されました。

その後GOMA氏とジャル―による心静かな協演も行われ、集まった人々の心にさらなる感動を届けました。

オーストラリアnowの一環としてたくさんの皆様の尽力により実現した今回のイダキ展。オーストラリアの多様性を体現するようなこの展覧会や、オーストラリア先住民にとってのこの楽器の持つ意義などについて、日本の皆さんに少しでも伝えることができたのではないでしょうか。

現代オーストラリアの様々な姿を日本の皆様に伝える特別キャンペーン期間、オーストラリアnowの終了まであと二か月を切りました。

これからもオーストラリアの魅力を伝える注目のイベントが目白押しです。

お見逃しなく!

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