2018年05月10日

先住民劇団ILBIJERRIディレクターが100人超の聴衆を前に講演
「大切なのは、歴史を自ら語りなおすこと」

先住民劇団ILBIJERRIディレクターが100人超の聴衆を前に講演
「大切なのは、歴史を自ら語りなおすこと」

「ジャック・チャールズVS王冠」を監修した、オーストラリア先住民劇団「ILBIJERRI」の芸術監督であるレイチェル・マザ氏が7日、東京の早稲田大学で講演し、学生や芸術評論家、一般の方を含む100人以上の聴衆を前に、先住民をめぐる歴史について語りました。

 

マザ氏は初めに、オーストラリアで「ブラック・シアター」として知られている先住民の人々による演劇活動について説明。1960年代から70年代に米欧などを中心に起こった民族回帰運動と呼応するようにして、オーストラリアの先住民であるアボリジナルおよびトレス諸島民の人々が、演劇活動を通じて、先住民をめぐる問題への認知度を高める社会運動を起こしていった過程について、ビデオやスライドを使って熱を込めて説明しました。

 

マザ氏は、先住民の人々がおかれている現状についてデータを用いて解説。入植者のオーストラリア大陸到着以降、先住民の人口が大幅に減少したことを指摘しました。そして、オーストラリア大陸に6万年以上前から住んでいたとされるアボリジナルの人々の辿った歴史を、先住民の人々自身が自らの言葉で語りなおすために、演劇というツールを用いて社会に訴えかけることの重要性を強調しました。

 

さらに同氏は、オーストラリア先住民の辿った歴史を語る際に、一番重要なのはユーモアであるとも述べました。自身の父親が「もし人々を楽しませることができれば、人々を教育することもできる」と言っていたと回想しています。

このたび静岡県のふじのくにせかい演劇祭にて上演された、アボリジナルの血を引くジャック・チャールズ氏の舞台は、チャールズ氏自身が味わわなければならなかった苦難の歴史を、ユーモアを交えて歌い、踊る内容です。このように、それを経験した人々自身が物語を語ることによって、公式にはあまり知られていない歴史を語り直し、後世に正しい形で受け継ぐことができる、とマザ氏は締めくくりました。

 

オーストラリア先住民であるアボリジナルおよびトレス諸島民の人々の目線からの物語と、彼らによる非常に質の高い芸術活動の紹介は、オーストラリアnowのプログラムの中で、皆さまにぜひお伝えしていきたい目玉の一つでもあります。

FacebookTwitterでも日々情報発信しています。

今後もオーストラリアnowプログラムの充実のラインナップをお見逃しなく!

ページ
トップ