2018年10月15日

「オーストラリア now」ニュースまとめ2018年10月号

「オーストラリア now」ニュースまとめ2018年10月号

「オーストラリア now」も閉幕まで一か月を切りましたが、その勢いは一向に衰える気配がありません。このひと月を見ても、サイエンスサーカスにコンテンポラリー・ダンス、サーフアート、水素セミナー、教育フェア、バイオテクサミット、インスタレーション・アート展、ラグビーツアーと、各分野を網羅する充実ぶりでした。

こうしたバラエティ豊かな内容は、日豪交流が日々、いかに各方面で展開されているのかを如実に語るものです。これらの交流のいくつかを大使館で目の当たりにできるのは、嬉しいことですが、実際には、多くの活動は私たちの知らない所で展開されています。

今月の「ヨルク・シュマイサー展 終わりなき旅」の開催は、一人の熱心で謙虚なアーティストが、いかに数十年もの間、国同士を結ぶかけ橋となり得るかを示す好例でした。キャンベラを離れ、愛する日本へと旅したことは、多彩な魅力を放つ彼の作品の中で大きな比重を占めています。

また、将来に向けた日豪関係の構築につながるイベントも開催されました。アラン・フィンケル首席科学官による来日です。同氏はこの機会を利用し、共有するエネルギーや環境面での課題に取り組む上で、水素がいかに有用であるかを語ってくれました。

「オーストラリア now」では、今後数週間フィンテック・セミナーや出版記念イベント、障がいをテーマにした舞台、研究シンポジウム、科学外交、ガラス作品展、さらにはフィナーレを飾るバンガラ・ダンス・シアターと、バラエティに富んだ布陣を組んでいます。

この機会に参加し、過去と未来における両国の絆を共に祝っていただければと思います。

バッシム・ブレージー

駐日オーストラリア代理大使

9月21日に開催された「ラグビーワールドカップ2019TM日本大会~札幌開催1年前キックオフセレモニー」に出席したリチャード・コート駐日大使と大使夫人

写真提供:オーストラリア・ラグビー基金

オーストラリアは1947年より東京に大使館、1965年より大阪、及び1992年より福岡と札幌にそれぞれ領事館を設けています。

9月15日-11月18日:ヨルク・シュマイサー展 終わりなき旅

10月14日 -10月16日:第56回日豪経済合同委員会会議

10月11日-10月21日:ヘザー・B・スワン個展「I let my body fall into a rhythm」

10月12日-11月11日:2018サイエンス・サーカス巡回展

10月20日-10月29日:バック・トゥ・バック・シアター公演「small metal objects」

10月23日:日豪イノベーション&リサーチシンポジウム

10月25日-10月26日:オーストラリアのフィンテック最新情報@フィンテックジャパン

10月26日-11月4日:優れたガラス作品に贈られるヒンドマーシュ賞受賞作、富山で展示会を開催

10月27日:ブレディスローカップ2018「ニュージーランド代表vsオーストラリア代表」

11月1日-11月2日:オーストラリア現代文学傑作選第6巻「グリーフーある殺人事件裁判の物語」刊行記念イベント

11月2日-11月5日:日豪科学外交と政策に関するフォーラム

11月9日-11月10日:バンガラ・ダンス・シアター公演 「Spirit2018 / I.B.I.S.」

オーストラリア政府のアラン・フィンケル首席科学官は9月27日に大使館を訪れ、オーストラリアにおける水素社会の到来について、自らの見解を披露しました。

総勢70名を超える財界や学界、政府関係者が集まったこの「オーストラリア now」イベントで、フィンケル博士は、水素は今後、オーストラリアにとって有望な輸出産業に発展する可能性がある点を強調しました。他にも、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の水素エネルギーシステム担当ディレクター代理、パトリック・ハートリー博士が出席し、クリーンエネルギーの未来に関する日豪研究協力の機会について説明を行いました。

オーストラリア連邦及びビクトリア州、日本の各政府は今年4月、ビクトリア州の褐炭から水素を製造し、日本に輸出するパイロットプロジェクトへの共同出資を発表しました。日本の川崎重工業を始めとするコンソーシアムが手がけるこのプロジェクトは、世界初となる水素サプライチェーンの確立を目指しています。

9月27日に「オーストラリア now」の一環として大使館で開催されたセミナーで、日豪両国が共有する水素社会の未来について語る、オーストラリアのアラン・フィンケル首席科学官

写真提供:オーストラリア大使館

150名を超えるアート愛好家が9月15日、町田市立国際版画美術館で行われた「ヨルク・シュマイサー展 終わりなき旅」のオープニングに駆けつけました。

この「オーストラリア now」プログラムは、2012年に他界した版画界の巨匠ヨルク・シュマイサーにとって、死後初の本格的回顧展となります。半世紀にわたり地球を旅して回った作家の180点を超える傑作が、ここには紹介されています。

バッシム・ブレ―ジー代理大使はこの個展のオープニングに出席し、同じくアーティストとして活躍する敬子・シュマイサー夫人より、生まれながらの旅人であったシュマイサー氏の功績について話を聞きました。観客はまた、同氏におけるオーストラリア、及び長年学んだ日本との深いつながりについて説明を受けました。

本展は「オーストラリア now」の一環として豪日交流基金の助成を受けており、11月18日まで開催されます。11月4日(日)には、神戸大学の窪田幸子教授による「オーストラリア・アーネムランド」と題したギャラリートークが、同美術館で行われます。

バッシム・ブレ―ジー代理大使と敬子・シュマイサー夫人、9月15日の「ヨルク・シュマイサー展 終わりなき旅」のオープニングにて

写真提供:オーストラリア大使館

アジア最大級のバイオテクノロジー・イベント「バイオジャパン2018」が10月10-12日に開催され、1万5千人以上の産業関係者や研究者を集めました。今年のイベントでは、オーストラリアとそのライフサイエンス分野における活動が大きく取り上げられました。

今回の参加は「オーストラリア now」の一環であり、オーストラリア貿易投資促進庁が主導しました。出展した主要なバイオ関連団体は、オーストラリアの質の高い医療研究インフラについての紹介を行いました。

また、会場のパシフィコ横浜では「オーストラリアのライフサイエンス最前線」と題したセミナーが開催され、およそ100名の参加者が、来日した企業の話に耳を傾けました。

セミナーでは、オーストラリア再生医療協会のシルビオ・ティジアニ氏を始め、セル・セラピーズ社のドミニク・ウォール氏、CMAXクリニカル・リサーチ社のジェーン・ケリー氏らが、再生医療や細胞治療の提供、臨床試験におけるパートナーとしてのオーストラリアの魅力について説明を行いました。

日豪のライフサイエンス、医療研究関係者の間で協力が深まる中、今回オーストラリアはこのイベントに、この数年間で最も本格的な参加を果たしました。

業界や企業の参加者と談笑する、オーストラリアのバイオ企業関係者とデイビッド・ローソン駐大阪総領事。バイオジャパン2018の「オーストラリア now」ブースにて

写真提供:オーストラリア大使館

豪国立科学技術センター(クエスタコン)による、情報満載の人気イベント「サイエンス・サーカス」が今年も日本に登場、「オーストラリア now」の一環として、西日本で5週間の巡回展示を行っています。

クエスタコンは日本からの大規模な支援を受け、1988年に設立された機関であり、今回のツアーは創設30周年を記念して企画されました。

「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」は、10月21日まで大阪で開催され、その後奈良、名古屋、高知でも展開されます。クエスタコンのデモンストレーターは日本の担当者と共に、この子供も大人も楽しめるショーを各地の学校で行うほか、市役所や図書館などで家族向けに展開しています。

このイベントは、大阪市立科学館やオーストラリア国立大学CPASとの共催により、豪日交流基金やオーストラリア首都特別地域政府の支援を受けて開催されています。

「オーストラリア now」の一環である5週間に及ぶ「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」の開催に備えて、練習に励む日豪のデモンストレーター

写真提供:クエスタコン

2019年のラグビー・ワールドカップ開催を前に、オーストラリア元代表選手であるジャスティン・ハリソン、モーガン・トゥリヌイ、マーク・ジェラードの各氏が、札幌で開催された前哨イベントに参加しました。

オーストラリアは札幌で2019年9月21日、フィジーと対戦します。コート大使とロン・グリーン駐札幌総領事は、一年後の試合開催を祝うイベントに、元代表選手らと共に出席しました。

オーストラリア・チームのマスコット“Wally”と代表選手OBらはこの他にも、来年の試合に向けて子供たちに元気を与えようと、9月6日の北海道胆振東部地震の被害を受けた小学校を訪れました。

一方コート大使は、秋元克広札幌市長や地震の被害を受けた方々に対し、哀悼やお見舞いの言葉を贈りました。また、復興への取り組みが迅速に進んでいるのに安心すると共に、札幌での試合開催に期待を表明しました。

ラグビーに関しては、10月9日にも、オーストラリア首都特別地域チーム、ブランビーズが、東京都港区にあるみなとラグビースクールに所属する子供たちに、コーチング指導を行いました。豪日交流基金によるこの助成プロジェクトを通じ、コーチのサマンサ・マックスウェルとデール・バートラムの両氏は、子供たちのプレーの指導を行いました。

9月21日に札幌市立東橋小学校を訪れた、オーストラリア代表チームのマスコット“Wally”と代表選手OB

写真提供:オーストラリア・ラグビー基金

約1,000名の学生や両親、関係者らが10月6日、東京・御茶ノ水ソラシティに集まり、留学の夢を現実に近づけるためのイベントに参加しました。

日本で毎年開催されるオーストラリア教育関連のイベントとして最大規模である「オーストラリア留学フェア2018」には、今年約50の大学や専門学校、他の教育機関が顔を揃え、数々のアドバイスを提供しました。

NHKでも報道されたように、10月8日、同フェアは大阪で初めて開催されました。この初の試みに41の教育機関が参加し、400名を超える学生が集まりました。

参加した教育機関によれば、日本の学生の関心は、短期の英語留学から、オーストラリアの大学や専門学校、訓練機関での学位・資格の取得へシフトしているそうです。

留学する日本人学生にとって、オーストラリアは米国に次いで人気の高い国となっています。

「オーストラリア now」の一環として10月6日に行われた、オーストラリア貿易投資促進庁主催の「オーストラリア留学フェア2018」(東京)で、大学のスタッフと話す参加者たち

写真提供:オーストラリア大使館

埼玉県が主催する初の「世界ゴールド祭2018」の一環として、マチュア・アーティスト・ダンス・エクスペリエンスによる「フロック」が9月28-30日、彩の国さいたま芸術劇場で上演されました。

この感動的な舞台は、有名な振付師のグレアム・マーフィー氏が、50代から70代のダンサーで構成されるタスマニアのダンス・カンパニーのために制作したものです。

この「オーストラリア now」作品は、豪日交流基金の助成を受けています。また、本作品や日本公演についてのマーフィー氏のインタビューが、ウェブマガジンdanceditionに掲載されています。

この他にも、ダンスカンパニーLucy Guerin Incによる日本初公演”Split”が、Dance New Air2018の一環として10月3-4日に東京・スパイラルホールで行われました。オーストラリア人ダンサーのメラニー・レイン、リリアン・スタイナー両氏による公演に、観客は大きな拍手を送っていました。この「オーストラリア now」イベントは、クリエイティブ・ヴィクトリアの支援を受けています。

「フロック」の公演後、ダンサーたちと会った宮広雪「オーストラリア now」プログラム・マネージャーとマーティン・ウォーカー政務担当公使。9月28日、彩の国さいたま芸術劇場にて

写真提供:オーストラリア大使館

サーフィンとスケートをテーマにした、参加型の創造的な地域プロジェクト「リトル・ペンギン・カップ」が「オーストラリア now」の一環として、9月3-29日に関東各地で開催されました。

オーストラリア人のサーフ・アーティスト、ヘンリー・ジョック・ウォーカー氏が手がけるこの企画は、サーフィンを媒介として様々な創造的活動を行うもので、クリエイティブ・ヴィクトリアが支援を行っています。

参加者は東京・ANAGRAでの展示会の開催や、千葉・Y+R Caféでのレジデンシープロジェクト、幼稚園への訪問などを行いました。他にも、壁画づくりやスクリーンプリント、仮装スケートボード、スケート・ジャンプ台のペイント、疑似サーフィンなどのワークショップやアクティビティに取り組みました。

「リトル・ペンギン・カップ」の一環として、千葉・Y+R Caféで開催された参加型ワークショップに集まったサーフ・アーティスト、ヘンリー・ジョック・ウォーカー氏と参加者たち

写真提供:ヘンリー・ジョック・ウォーカー

「オーストラリア now」のフィナーレを飾る、彩の国さいたま芸術劇場でのバンガラ・ダンス・シアター公演(11月9-10日)が、いよいよ近づいてきました! 今回の再来日では、“I.B.I.S.”と“Spirit2018”の両作品を通じ、オーストラリアにおけるアボリジニ・トレス海峡諸島の多種多様な伝統的文化を見せてくれます。

豪日交流基金が助成する今回の公演で、バンガラ・ダンス・シアターは、これまでの30年間の活動の集大成を、パワフルな文化の祭典にふさわしい形で披露してくれます。まさに、忘れられないダンス体験になりそうです!

日本公演の最新情報については、バンガラ特設サイトTwitterFacebookをご覧下さい。

11月9日に埼玉で上演されるI.B.I.S の舞台に立つバンガラのダンサーたち。ワアンゲンガ・ブランコ、ヨランダ・ロワッタ、タラ・ガウワーの各氏

写真提供:ジェフ・タン

オーストラリア現代アートの世界で活躍するヘザー・B・スワン氏の個展「I let my body fall into a rhythm」が、「オーストラリア now」の一環として、10月11日より東京・BUoYで開かれています。

この作品展は、スワン氏が一年間かけて追求してきた、動かないオブジェと身体的動作、肉体的作業との関係というテーマをまとめた内容といえます。公衆浴場をギャラリーに改造した空間で、彼女の作品が生み出す躍動感は、観客に深い印象を与えていました。

10月21日まで開催される、この異色の作品展は、イアン・ポッター美術館アジアリンク・アーツメルボルン大学オーストラリアン・カウンシル・フォー・ジ・アーツ豪日交流基金が協賛しています。お見逃しないように。

個展のオープニングに出席した、オーストラリア現代アート界で活躍するヘザー・B・スワン氏(左から3人目)。(左から)フリーランスキュレーター兼ライターの原田大輔氏、ギャラリスト兼キュレーターのマイケル・ビュゲリ氏、徳仁美大使館広報文化部ディレクター、デボラ・ハート オーストラリア国立美術館オーストラリア美術部長、北千住BUoY芸術監督の岸本佳子氏、マーティン・ウォーカー大使館政務担当公使

写真提供:オーストラリア大使館

オーストラリアの作家ヘレン・ガーナ―氏が、批評家の称賛を浴びた作品「グリーフーある殺人事件裁判の物語」の出版記念会が、11月1日東京・代官山で開催されます。この「オーストラリア now」イベントは、オーストラリア現代文学傑作選における初のノンフィクション刊行を記念するものです。

ガーナ―氏はこのイベントで、オーストラリアのビクトリア州で3人の子供を殺害し、起訴された男の裁判を扱った、自らの作品について講演を行います。また、直木賞作家である中島京子氏と対談を行い、本作に対するオーストラリアと日本の捉え方について、意見を交換します。

本作は明星大学の加藤めぐみ教授が邦訳を手がけており、11月に日本で刊行されます。現代文学傑作選は、豪日交流基金が助成を行っています。

「オーストラリア now」の一環として開催される「グリーフーある殺人事件裁判の物語」の邦訳出版記念イベントのため、間もなく来日するヘレン・ガーナ―氏

写真提供:ニコラス・パーセル

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